2019年3月6日水曜日

釜石支援報告-2019年3月

岩渕は3月1日から4日までの3泊4日で釜石へ伺い、6回のコンサートをさせていただきました。今回は急遽、発災直後から釜石へ入って支援活動をなさった堀井さんご夫妻も同行してくださることになり、期間中は常にご一緒することになりました。

堀井さんご夫妻は牧師であり、昨年夏には東北応援団の活動のために教会からご支援を賜っています。またご夫妻がレンタカーを予約されていたので、現地での移動を助けていただき本当に助かりました。

さて釜石へ到着した足で最初に訪問したのはこれまでなんども伺った『小川のサポートセンター』です。センターはこの3月で閉じられるとのことで、今回伺えたことは自分にとって大きなプレゼントでした。『ありがと音頭』が生まれるきっかけになったのがこのサポートセンターです。それはコンサート中に踊りだした方がいらっしゃったことからヒントを得て作曲をしたのですが、曲が出来上がって最初に歌ったのもこちらでした。今回はなんとその踊り出した方もいらっしゃいました。

 

コンサートが終わってからスタッフの方からの提案で記念写真を撮ろうということになりました。


スタッフの方に見送られてサポートセンターを後にする時には、何か込み上げてくるものがありました。閉鎖後はスタッフの皆様もあちらこちらに散り散りになるとのことでした。たくさんの出会いをいただいたサポートセンターに心から感謝します。

続いて夕方からは小佐野公民館でのウクレレ会です。今回は約10か月近いブランクがありましたので、みなさんとの再会を楽しみにしていました。


今回のウクレレ会には初めて参加される方がお二人もみえられていました。それにしても月に2回ずっと継続してこられていることは素晴らしいと思います。またウクレレ会は毎回500円の参加費で運営されていますが、経費を除いた分は東北応援団の活動支援のために募金してくださっています。皆さんのそのお気持ちには頭が下がります。

2日目の午前中は天神復興住宅での『ひなまつり会』で歌いました。この場所で歌うのは2度目になりますが、前回は入居が始まった直後で何もない集会室に5人の方の参加だったことを思い出しました。あれから2年が過ぎて今回はいっぱいの方々が集っていらっしゃいました。



会場にはおひなさまが飾られていましたが、会の途中でおひなさまにまつわるクイズが出されました。それは「ひな壇の最上段の二人は左から何という呼び名でしょう」という問題でした。私は「お内裏さまとおひなさま」かなと思ったのですが、正解はどちらも「お内裏さま」でした。実は「灯りをつけましょぼんぼりに〜」で始まる童謡の『嬉しいひなまつり』の歌詞が間違っていて、そのまま間違えて覚えている人が多いんだそうです。 これは知りませんでした。

 

『ひなまつり会』では皆さん持ち寄りのこんなご馳走がふるまわれました。右上のお皿に盛り付けられた黄色いものは、煮リンゴでした。煮リンゴは初めてでしたが上品な甘さで美味しくいただきました。

この日の午後は当初予定が入っていなかったのですが、急遽山田で被災されたKさんご夫妻のお宅を訪問することになりました。

Kさんは山田の『いっぽいっぽカフェ』で何度もお会いしている方で、苗字が私の母方と同じということもあり、忘れることのできない方のおひとりです。最近はお会いする機会がなかったので、再会するのを楽しみに出かけました。

こたつを囲みながら、Kさんは震災時のことから現在に至るまでのいろいろなことを話してくださいました。話の途中からはお魚のご馳走がテーブルに並び、耳も味覚も大満足させていただいた訪問となりました。


帰りにはKさんのお宅に近くに新しく出来上がった『ハリストス正教会』の会堂に立ち寄りました。

 

またこの3月23日に全線開通する三陸鉄道リアス線の試運転に出くわしました。これで久慈市から大船渡市までが線路でつながったということになります。


ドライブ中に聴こえてきた「ゴー」っという音は、これまで聴いたことがない音だったので驚きましたが、それは近くを通り過ぎる電車の音でした。三陸鉄道リアス線の開通は沿線のみなさんに希望をもたらすに違いありません。この電車が走り続けられるように、鉄道ファンのみならず、三陸にお出かけの際はぜひお乗りください。

さらに釜石への途中にある大槌町で『ひょっこりひょうたん島』のモデルになったと言われている、蓬莱島へ立ち寄りました。蓬莱島は何度も近くを通り過ぎながら、これまではその姿を見る機会はありませんでした。


防波堤の先で灯台がかすかに赤く光っているところが蓬莱島です。震災で破壊された防波堤も再建されて島まで歩いて渡ることができます。

今年はラグビーのワールドカップの試合が釜石で開催されます。鵜住居のラグビー場にも立ち寄りましたが、もうすっかり日が落ちてしまっていて写真を撮ることはできませんでした。


3日目の午前中には浜町の集会所でコンサートをさせていただきました。今回同行してくださった堀井さんご夫妻が発災直後に入られたのがこの浜町ですので、当時のことで話が弾みました。浜町は釜石の中でも津波の直撃を受けた地域ですが、少し中心部から離れていることもあって道路や地盤の整備の方はまだまだ残っているようでした。


写真はみなさんに『ありがと音頭』の振り付けをお教えしているところです。僕があまりに下手なので皆さんが笑いをこらえきれない様子でした。

この日の午後には一気に車を飛ばして大船渡へ移動し、大船渡聖書バプテスト教会の礼拝で歌わせていただきました。こちらの教会は1回建ての屋根ぎりぎりまで水に浸かってしまいました。


十字架の付近まで浸水したとのことです。

さて最終日は復興住宅としては最後に完成し、入居が始まったばかりの浜町復興住宅でのコンサートです。ですからこちらの復興住宅では初めて住民の方々へ呼びかけた集いということでした。

集会所は建物の最上階にありました。それは今後の津波被害に備えてのことですが、そこからの景色は、私たちが発災直後にテレビで観た景色でした。防波堤を波が越える時の映像や、ビルの屋上で助けを求めていらっしゃった方の姿が脳裏に蘇ってきました。私はここに入居された方々の精神面は保たれるのだろうかと一抹の不安がよぎりました。



浜町復興住宅では3人の方が集ってくださいました。人数は少なかったのですが、地域のことを深く考えていらっしゃる方々でしたので、今後のコミュニティー作りのきっかけになるのではないかと思わされました。

今回の訪問では小川サポートセンターの閉鎖や三陸鉄道リアス線の試運転、復興住宅としては最後に完成した浜町復興住宅での初めての集いなど、発災から8年が過ぎようとしていることを実感させられる訪問となりました。

『東北応援団 LOVE EAST』は発災から10年は支援を続けさせていただきたいと願っています。それには皆様からのご支援を欠かすことができません。今後もこれまで同様にご支援を賜りますよう、よろしくお願い致します。

岩渕